自慢げな父の表情

スペインへ父と弟と旅行へ行ったときの話。

わたしも弟も父とは別に暮らしているので出発日に空港で待ち合わせをして、そこから出かけることになっていた。お互い仕事や学校もあったので荷物について等の細かい話はなにもせずに集まったと思う。旅行は旅行会社のツアーだった。

スペインへ着いたのが夜だったので私達やツアーの人たちを乗せたバスはすぐにホテルへ向かった。夏の時期だったので夜でも少し暑かったことを覚えている。ホテル、と聞いていたが実際着いたのはロッジが繋がっているようなタイプの部屋。私はその雰囲気は嫌いではなかったけれどホテルよりは安上がりな気がして、少しがっかりした。部屋へ着くと、疲れていたのでベットへ横になり、携帯の充電がないことに気がつき、充電をした。コンセントは2つしかなかったがみんな充電をしたかったので明らかにコンセントの数が足りていなかった。

その時父が自慢げに、「はい。」といってコンセントの差し込み口が5つ付いているそれを渡した。「こんな時のために持って来たんだ」とやはり自慢げな父。早速コンセントにとりつけ、携帯を充電しようとした。

その時だ。

部屋の電気がいきなり全て消えた。

そう、停電してしまったのだ。

(私達の部屋のみ)

父の自慢げだった表情が曇っていった。なんだかせっかく持って来てくれたのに申し訳ないような、けれどあの自慢げな表情を思い出すとこんな状況でも笑えてくる。

その後、弟がフロントまで行きスタッフの方を呼んで来てくれたのですぐに回復した。次は海外対応のそれを持って来て自慢げな表情を見せて欲しい。